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【5分でわかる!】行政裁量と裁量基準とは?「裁量基準違反=違法」ではない理由は?

行政書士試験の行政法では、「行政裁量」に関する問題が頻繁に出題されます。

その中でも受験生が混乱しやすいのが、

という論点です。

実際の試験では、

裁量基準に違反したから違法である

という選択肢が出題されますが、多くの場合は誤りです。

今回は、行政書士試験で頻出の判例(最大判昭和53年10月4日)をもとに、

  • 行政裁量とは何か
  • 裁量基準とは何か
  • 裁量基準違反はなぜ直ちに違法にならないのか
  • 裁量権の逸脱・濫用とは何か
  • 試験で狙われるポイント

について詳しく解説します。

まずは問題を確認

行政書士試験では次のような問題が出題されます。

問題

行政庁がその裁量に任された事項について、裁量権行使の準則(裁量基準)を定めることがあっても、このような準則は行政庁の処分の妥当性を確保するためのものであるから、処分が当該準則に違背して行われたとしても、違背したという理由だけでは違法とはならない。

答えは

です。

しかし、

「基準に違反したのに違法ではないの?」

と疑問に思う方も多いでしょう。

その理由を理解するためには、まず行政裁量から理解する必要があります。

行政裁量とは何か

行政庁が行う処分の中には、法律によって細かく決められているものもあれば、一定の判断を行政庁に委ねているものもあります。

例えば、

  • 飲食店営業許可
  • 建築確認
  • 生活保護の停止
  • 公務員の懲戒処分
  • 在留資格の更新

などです。

法律はすべてのケースを想定して規定することができません。

そこで、

「具体的な事情に応じて行政庁が判断してください」

という形で判断の余地を残しています。

この判断の余地を

行政裁量

といいます。

裁量の具体例

例えば公務員が無断欠勤をした場合を考えてみましょう。

法律には、

無断欠勤をした場合には懲戒処分をすることができる

と規定されています。

しかし、

  • 1日の無断欠勤
  • 10日の無断欠勤
  • 1か月の無断欠勤

では悪質性が異なります。

また、

  • 初犯なのか
  • 常習なのか
  • 反省しているのか

によっても事情は変わります。

そのため法律は、

どの処分にするか

を行政庁に委ねています。

これが裁量です。

裁量基準とは何か

しかし裁量を自由に認めすぎると問題が発生します。

例えば、

AさんとBさんが全く同じ違反をしたにもかかわらず、

  • Aさんは戒告
  • Bさんは免職

という結果になれば不公平です。

そこで行政庁は、

あらかじめ判断基準を作成します。

例えば、

違反内容処分
無断欠勤3日以内戒告
無断欠勤10日以内減給
無断欠勤30日以上停職

というようなルールです。

これを

裁量基準

または

裁量権行使の準則

といいます。

裁量基準の目的

裁量基準の目的は、

行政庁の判断を統一し、

公平性を確保することです。

つまり、

  • 恣意的な判断を防ぐ
  • 同じ事案は同じように処理する
  • 国民の予測可能性を高める

ために存在します。

行政手続法でも裁量基準の設定や公表が求められています。

裁量基準違反は違法なのか

ここが試験の最大のポイントです。

例えば、

基準では

無断欠勤10日 → 減給

となっているにもかかわらず、

ある職員だけ

停職処分

を受けたとします。

この場合、

裁量基準違反になります。

では、

その瞬間に違法となるのでしょうか。

判例の考え方

最大判昭和53年10月4日は、

次のように述べています。

要約すると、

裁量基準は行政庁内部の判断基準である。

処分がその基準に違反したからといって当然に違法になるわけではない。

という考え方です。

つまり、

裁量基準違反

違法

なのです。

なぜ違法にならないのか

理由は簡単です。

裁量基準は

法律ではない

からです。

法律であれば、

違反した時点で違法になります。

しかし裁量基準は、

行政庁が自ら作成した内部ルールです。

そのため、

基準に反したというだけでは、

直ちに違法とは評価されません。

では何を基準に違法か判断するのか

判例は、

処分が違法となるのは

裁量権の逸脱又は濫用がある場合

だとしています。

つまり、

裁量基準違反そのものではなく、

裁量権の逸脱・濫用が問題になります。

裁量権の逸脱とは

逸脱とは、

法律が認めた範囲を超えることです。

例えば、

軽微な違反しかしていない職員を

いきなり免職にした場合です。

社会通念上、

明らかに重すぎる処分であれば、

行政庁の判断は裁量の範囲を超えています。

これが裁量権の逸脱です。

裁量権の濫用とは

濫用とは、

裁量権を不合理・不公平に行使することです。

例えば、

同じ違反をした二人の職員について、

  • Aさんは戒告
  • Bさんは免職

という差を設けた場合です。

しかも合理的な理由がない。

このような場合は、

裁量権の濫用となります。

裁量基準違反が違法になるケース

裁量基準違反そのものは違法ではありません。

しかし、

裁量基準違反が

裁量権濫用の証拠になることがあります。

例えば、

行政庁が長年運用している基準を、

合理的理由なく特定の人だけ無視した場合です。

このようなケースでは、

平等原則に反し、

裁量権の濫用が認められる可能性があります。

つまり、

裁量基準違反は違法性判断の重要な材料になるのです。

行政手続法との関係

行政手続法では、

許認可などについて審査基準を設定し、

原則として公にすることが求められています。

これは、

行政運営の透明性を高めるためです。

しかし、

審査基準や裁量基準が存在するからといって、

それが法律と同じ効力を持つわけではありません。

ここを混同しないようにしましょう。

行政書士試験での狙われ方

試験では次のようなひっかけがよく出ます。

誤り

裁量基準に違反した処分は当然に違法である。

×

違法ではありません。

正しい

裁量基準違反は直ちに違法とはならない。

正しい

裁量権の逸脱又は濫用がある場合に違法となる。

誤り

裁量基準は法律と同じ法的拘束力を持つ。

×

内部基準にすぎません。

試験で覚えるべき一文

行政書士試験対策としては、

次の一文をそのまま暗記しておくと便利です。

裁量基準に違反しただけでは直ちに違法とはならず、裁量権の逸脱又は濫用が認められる場合に違法となる。

このフレーズは行政裁量分野の基本中の基本です。

まとめ

行政庁には法律によって認められた裁量があります。

その裁量を公平に運用するために裁量基準が設けられますが、裁量基準はあくまで行政庁内部の判断基準にすぎません。

そのため、

「裁量基準に違反した=違法」

ではありません。

判例(最大判昭和53年10月4日)は、

「裁量基準違反は原則として当不当の問題にとどまり、裁量権の逸脱・濫用がある場合に初めて違法となる」

としています。

行政書士試験では、

「基準違反だから違法」という選択肢が頻繁に登場します。

そのような問題を見たら、

まず

「裁量権の逸脱・濫用があるか?」

という視点で判断するようにしましょう。

これが行政裁量分野を攻略する重要なポイントです。

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