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【商法】行政書士試験対策|株主の権限①「株主総会と議決権」をゼロから丁寧に


商法・会社法の最重要テーマ「株主総会と議決権」を超やさしく解説。定時・臨時の違い、専決事項、普通決議と特別決議の具体的要件、1株1議決権の原則と例外まで丁寧に整理。

株主の権限①「株主総会と議決権」をゼロから丁寧に

「株主の権限って結局なに?」——本連載の第1回では、株主総会と議決権にテーマを絞って、試験でも実務でも迷わない“骨格”を作ります。定時/臨時の違い、何を総会でしか決められないのか(専決事項)、そして1株1議決権の原則と例外を、具体例・数字つきでやさしく確認していきましょう。


1. 株主総会の「役割」をひとことで

株主総会は、株式会社の最終的な意思決定機関です。取締役会が“日々の運転”を担うのに対し、株主総会は“進む方向や重要部品の交換”を決めるイメージ。だからこそ、定款変更や役員の選解任などの基本方針級の決定は、取締役会ではなく株主総会で行います。

定時総会と臨時総会のちがい

  • 定時株主総会: 毎事業年度の終了後一定の時期に開催(会社法296条1項)。決算の承認、剰余金の配当など「年次の総まとめ」を行う。
  • 臨時株主総会: 合併や役員解任など重要案件が発生したときに随時開催。

補足: 「3か月以内開催」という表現は法律上の明文規定ではなく、実務・定款の定めによる場合が多い。


2. これだけは総会でしか決められない(専決事項)

試験で頻出なのが専決事項。代表例を理由つきで押さえましょう。

  • 定款の変更(会社の根本ルールは株主全体で決める)
  • 取締役・監査役の選任・解任(経営陣を誰にするかは所有者=株主が決める)
  • 計算書類の承認(会社の1年の成果を株主が最終確認)
  • 組織再編・解散など(会社の存続や形を左右する重要テーマ)

3. 議決権の“原則と例外”を丁寧に

原則:1株1議決権

基本は1株1議決権(会社法308条1項)。100株持てば100票分の力を持ちます。

議決権を行使できないケース

  • 自己株式: 議決権なし(308条2項)。
  • 子会社が親会社株式を保有: 議決権を行使できない(308条1項括弧書、会社計算規則67条)。
  • 無議決権種類株式: 発行されている場合は議決権なし。

決議の種類と要件

  • 普通決議: 定足数=議決権を行使できる株主の過半数出席、表決数=出席株主の過半数賛成(会社法309条1項)。定款で定足数の引下げや排除が可能。
  • 特別決議: 定足数=同上、表決数=出席株主の3分の2以上の賛成(309条2項)。定款で賛成数の引上げが可能。

イメージ: 社の“骨格”に関わるほど、決議要件は重くなる。


4. 議決権の行使方法

  • 代理行使(委任状): 株主は代理人を通じて行使可能。
  • 書面投票・電子投票: 遠隔地の株主も参加しやすい制度。定款や招集通知の定めが必要。
  • 招集通知: 議案・取締役会の意見・反対理由などが記載される。試験でも細かく問われる分野。

5. 試験で間違えやすいポイント

  • 専決事項と取締役会事項の混同: 「会社の基本構造」=総会、「日常の運営」=取締役会。
  • 議決権の例外の落とし: 自己株式・子会社保有株・無議決権種類株式。
  • 決議要件: 普通=過半数/特別=3分の2以上。

6. ミニ辞典(1分で振り返り)

  • 株主総会: 最終意思決定機関。定時/臨時あり。
  • 専決事項: 定款変更、役員の選解任、計算書類承認、組織再編など。
  • 議決権: 原則1株1議決権。自己株式・子会社保有株・種類株式は例外。
  • 決議要件: 普通=過半数、特別=3分の2以上。

7. 30秒チェック(○×クイズ)

  1. 自己株式にも議決権がある。…( )
  2. 取締役の選任は取締役会の専決事項だ。…( )
  3. 普通決議は出席株主の過半数賛成で可決される。…( )

答え: 1×/2×/3○


8. 次回予告:少数株主権を“数字で理解”

第2回は少数株主権を丁寧に。
・招集請求(297条)=3%以上(公開会社は6か月継続保有、非公開会社は保有期間要件なし)
・議題提案(303条)=1%以上 または 300個以上、かつ6か月継続保有(取締役会設置会社の場合)。行使期限は総会日の8週間前まで。
・会計帳簿閲覧(433条)=3%以上(保有期間要件なし)
・代表訴訟(847条)=公開会社は6か月継続保有(非公開会社は期間要件なし)

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株主の権限② 少数株主権を数字で理解株主の権限③ 財産的権利と実務イメージ

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