行政書士試験で頻出する判例を判決年月日付きで解説。憲法・行政法・民法の重要判例と効率的な覚え方、記述式対策への活用法まで徹底ガイド。
行政書士試験では、条文や基本書だけでなく判例の理解が合否を大きく左右します。特に憲法や行政法では判例がそのまま出題されることも多く、理解なしには突破できません。本記事では、受験生が必ず押さえるべき主要判例を判決年月日付きで整理し、効率的な覚え方も紹介します。
なぜ判例が重要なのか
- 出題頻度が高い： 憲法・行政法分野では判例知識が得点を左右する割合が大きい。
- 条文理解の補強： 抽象的な条文を具体的な事例で理解でき、記憶に残りやすい。
- 記述式に直結： 結論と理由を40字でまとめる力が必須。
憲法の重要判例
尊属殺重罰規定違憲判決（最大判・1973年4月4日）
刑法200条の尊属殺人加重規定は憲法14条の平等原則に反し違憲。
薬局距離制限事件（最大判・1975年4月30日）
薬局開設距離制限は営業の自由（憲法22条）を侵害し違憲。
愛媛玉串料事件（最大判・1997年4月2日）
公金支出による宗教活動は憲法20条違反。
北方ジャーナル事件（最大判・1986年6月11日）
出版差止めの仮処分は、厳格な要件を満たす場合にのみ許容されるとした。
宴のあと事件（東京地裁・1964年9月28日）
プライバシー権を初めて認めた判例。
石に泳ぐ魚事件（最判・2002年9月24日）
プライバシー権と表現の自由の調整を示した。
夫婦別姓訴訟（最大判・2015年12月16日）
民法750条の夫婦同姓規定は合憲と判断。
行政法の重要判例
朝日訴訟（最大判・1967年5月24日）
生活保護法の基準は抽象的権利であり、個別の請求権は認められない。
輸入禁制品該当通知事件（最判・1979年12月25日）
税関長の「輸入禁制品該当通知」に処分性を認めた。
国立マンション事件（最判・2006年3月30日）
景観利益も一定の場合「法律上保護された利益」に含まれると認めた。
民法・その他の重要判例
日照権事件（最判・1972年6月27日）
日照権侵害について「受忍限度」基準を示した。
無権代理の基本判例（大審院・1919年12月15日）
無権代理行為は原則無効、追認により有効となる。
判例の効率的な覚え方
- 結論＋理由を短文で整理： 「尊属判決＝違憲（平等原則）」など。
- 条文と紐付け： 憲法14条 → 尊属判決、憲法22条 → 薬局事件。
- 判決年月日を一緒に覚える： 年表やカードで整理。
- 過去問で反復： 出題頻度の高い判例を優先的に学習。
記述式対策での活用
行政書士試験の記述式は判例知識を40字程度でまとめる力が必要です。
例：「薬局距離制限事件」 → 「営業の自由を過度に制限する薬事法の距離制限は違憲とされた」
まとめ
行政書士試験は、憲法・行政法を中心に判例知識が重要です。判例は「結論＋理由＋条文＋年月日」のセットで整理しましょう。判例を理解することは、条文理解を深めるだけでなく記述式対策にも直結する最強の得点源です。